第29回アマチュア天文研究発表大会
(関西天文同好会創立25周年大会)
目次
日本アマチュア天文研究発表大会(略称・アマ天大会)は、アマチュア天文家に日頃の研究の成果を発表していただく場を設けることを目的として開催している、最も由緒があり権威高い全国大会です。
1957年に第1回大会を川崎市で開催後、毎年全国各地持ち回りで開催しており、本年第29回大会は関西天文同好会創立25周年記念大会と兼ねて、1996年11月4日に京都市で開催しました。
- 主催
- 第29回京都大会実行委員会
- 関西天文同好会
- 協賛
- 桂天文同好会
- 口丹波天文同好会
- 国際光器
- (株)西村製作所
- (有)光画堂
- 後援
- 京都府教育委員会
- 京都市教育委員会
- 第29回大会にあたりて
- アマ天大会運営委員長 正村一忠(写真左)
- 京都大会にあたり
- 第29回大会実行委員長 佐竹真彰(写真右)
- 関西天文同好会創立25周年を記念して
- 関西天文同好会会長 司馬康生
1966年アメリカにてZHR15万とされる著しい流星嵐を出現させた、ししγ流星群。私は1972年に流星観測を開始してから、ずっと待ち続けていました。夢のような流星嵐、その出現まであと数年に迫っています。
1970年代の観測記録を阪神淡路大震災にて失ってしまいましたが、1980年代、90年代の自己のデータをまとめてみたところ、1993年よりピークの値が増加し、特に1994年、95年の出現は、盛んな出現を見せるペルセウスγ流星群に比肩しうるものとなっています。
自己の観測と種々の研究により、希望的待望予想としてししγ流星群は、1996年ZHR100〜200、1997年ZHR500、1998年ZHR数千、1999年ZHR500〜1000。以上の想定にて待ち続けてししγ群の観測のフィナーレを飾りたい。
サイクル22の太陽活動も極小期を迎え、このところ毎日無黒点の日が続いている。この時期に活動期の太陽面を振り返ってみるとその変化の一つ一つが、二度と見ることのできない貴重なものであった。私が録画したビデオは100本を越えたその中から、1989年、1990年、1991年、1992年の黒点、フレア、ダークフィラメント、プロミネンスの面白いものを選んでみた。
この太陽活動を見ることによって、次の活動期の計画と準備ができるのではないだろうか。
都会から離脱することなく満足に取り組める天体は太陽と惑星であると思う。
1990年から惑星の写真撮影、1994年からはスケッチを主体にした眼視観測を行っているが、1996年4月に冷却CCD(以下、CCD)を導入した。それ以降、スケッチとCCD画像で木星・土星を追跡している。
まだ試行錯誤の状態であるが、今までに感じたCCDの効果及び今後の課題について考える。
尚、使用している望遠鏡は305mm反射(ニュートン)、CCDは40万画素。
イメージインテンシファイヤーを用いたTV流星観測により、眼視観測に近いイメージのビデオ流星映像を数多く撮影した。これまでにビデオテープの解析から流星群活動や流星物質の軌道要素に関する結果を得、報告している。
また、得られたビデオテープから初心者向けの流星観測ガイダンスに使用可能な観賞用ビデオテープを編集し、有料にて配布した。各地での流星観測ガイダンスにて有効に活用されていると共にベテラン流星観測者に対してもTV観測独自の記録映像を提供できた。本発表では我々のTV観測の特徴と得られたデータの内容、そして販売している編集ビデオテープを紹介する。
尚、編集ビデオテープ「Meteors by TV Observation Vol.1」と「同 Vol.2」は本会においても少量販売する。
よくシュミットカセグレン式の望遠鏡は、シャープじゃないと聞きます。光学素子に凸面があるためジフラクションリミテッドが大きく不利ですが、本当に見え味が悪いのでしょうか? 光軸調整をかなり苦労しながら追い込んでいる観測派と自称する方々は、メーカーの製作制度に頼らず改造しながら光学素子を光軸上に置いているのです。光学素子の軸芯がセンターにない…というのは、鏡やレンズの光学的芯が、必ずしも物理的な中心(たとえば、鏡の外径に対しての中心)に無いということです。アマチュア用の一般望遠鏡のメカニックと光学素子性能は、コストの関係から工業規格基準の誤差範囲内でよいかもしれませんが、光学機器の基本姿勢に不備があります。見えないと言われるシュミットカセグレン式望遠鏡を理屈を踏まえて改造調整してみました。
私達人類は、この100年あまりの間に電気を手に入れ、太陽の「光」のない夜、また届かない場所を照らし出す人工光を自由に作り出すことができるようになりました。しかし、こうした文明がもたらす恩恵には大概副作用があり、人工光についても例外ではありませんでした。
車の排気ガス、工場の廃液など世間を騒がす公害は、イメージだけでなく、原因となる物質も社会的にマイナス要因であるため、被害を感じる人も多く、日本でも比較的早い時期から問題とされてきました。
しかし、人工光については、サーチライト、レーザービームを使ったり、電球内に特殊なガスを入れて色々な色を発光させるなどイメージ的に大変きれいなものが多く、それを見る人の感じ方によって派手すぎるという人もあれば、美しいという人もあり、この議論はここ数年ようやくマスコミなどで取り上げられるようになってきました。
街路灯が明るすぎて夜眠れない、稲が育たない、天の川が見えない…
本来、我々の生活を便利にしてくれるはずだったのに便利さを追求するあまり周囲への配慮をわすれてしまってはいないでしょうか?
「光害」 文明の発展と共に加速して増え続けるであろうこの問題についての国民の意識を調査してみました。調査にあたり、アンケートにご協力いただいた方々ならびに多大な事業協賛を賜りました(財)全労災の関係各位にこの場を借りて御礼申し上げます。
我々は、新しい流星の本格的な電波観測方法を使って、電波とTV流星の同時観測を行った。その新しい流星の電波観測とは、アマチュア無線の電波を利用した本格的な電波観測(HRO)である。我々は、1996年8月11/12日に3.8時間の同時観測を行い、電波流星とTV流星の同時流星を4個捉えた。これは、TV観測の視野18°×23°で最微星7等の状態でTV流星を同夜に53個撮影したのであるから、TV流星数の内の7.5%がHROでエコーとして観測できたものである。この結果は、流星の電波観測からのエコー数より流星の総量を決定するときに考慮しなければならない数値である。
1995年8月27日〜翌年3月13日までの約200日間、我々は、28cmと35cmの望遠鏡に取り付けたフォトンカウンターで、Nova Cas '95のUBV測光を続けた。この新星は発見後も約100日以上増光を続け、極大でV=7.06等、B=7.54等、U=7.57等に達した。その後、急激に減光していったが、再び増光を始め、2月21日には第2のピークを迎えた。新星の極大前の測光データがこれほどたくさん得られたのは、いるか座新星(1967)以来である。また、この新星は、いるか座新星と大変よく似た光度変化をしており、特に、U-Bの変化は酷似している。我々の観測からは、増光中の色指数の変化、色による極大のずれ、極大時の赤いパルス、ピークにおける色指数の変化の違い等、興味深い観測事実が多く得られた。
1996年1月7日、つくば市とその周辺に落下した隕石に伴う隕石雲について、いくつかの仮定を行い、その中に含まれるダスト量を試算した。隕石雲はその成分がすべて隕石由来のダストであるとし、その大きさは一般的な流星塵と同じと考え、観測された雲の大きさと、その明るさの推測により計算した結果、落下回収された隕石質量(800g余)より小さな質量のダスト量で十分観測可能な雲が形成されることがわかった。
講師略歴
主な著書
第30回大会は1997年10月に、海老名天文同好会の主催により、神奈川県海老名市で開催されました。
(写真は大会旗引き継ぎの様子)
アマ天大会は、1957年5月14日に川崎市で第1回大会開催後、第2回大会(1959年)から毎年9〜11月に開催してきましたが、現体制での大会は次回第30回大会をもってひとまず終了することとなりました。
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